プロダクト開発における会議の実施方法についてご相談させてください。
まずは、弊社の状況について共有させていただきます。
■事前情報
・IT系スタートアップ
・従業員50名程度
・現在の事業を開始して約5年程度経過
・投稿主:スタートアップ経営幹部(取締役CPO)
・顧客の社数:100社前後
■相談したい課題
現在スタートアップにて、CPOとしてプロダクトの開発責任者を担っています。最近開発優先事項を決定する会議体にたくさんの参加者がおり、参加メンバー数が多すぎるのでは?という気がしております。
代表からも、参加者が多いという点について指摘をもらっているのですが、各メンバーからすると、できるだけキャッチアップしておきたいという思いがあるようで、参加を断りづらい空気感が生まれています。
これについて、参加者を減らすためにどのような対策が可能でしょうか?
元々、開発する機能については、CPOの私とプロダクトマネージャー、CS責任者、営業責任者の4名で開発優先事項を決めていました。
しかしながら、顧客数が増え、顧客ごとに作らなければならない機能が加速度的に増加していった結果、開発優先度を決定する会議において参加者が徐々に増えていった形になります。
・CSチームからは部長のみならずマネージャーが追加で数名参加
・営業チームからは、部長のみならずFSマネージャーとインサイドセールスのマネージャーも参加
・新しくカスタマーサポートのマネージャーとデータ分析チームのマネージャーも参加し、まれに役員の参加ある
参加者の数を削減したいものの、弊社のカルチャーの問題(※)もあり、ざっと参加者を制限するのが空気的に厳しいものがあります。
参加者を減らしたいのですが、どのように対応するとよいでしょうか?
(※)チームメンバーをリスペクトしよう!というカルチャーのため、トップダウンでの参加者削減が難しい空気感があります。
はじめましてサダハルさん
奥村と申します。
普段スタートアップでCEOやCOOの相談にのる仕事や、グロース支援に従事しています。
過去都合3回ほど、同様のサイズのスタートアップで、プロダクト開発、事業開発に携わった経験からすると、該当のご状況は、比較的よくあるパターンかと思われます。
その上でご投稿された質問について結論からお伝えすると、参加者を減らす目的をどのように置くかで対応方法は変わってくると思いますが、原因としては顧客戦略が明示されていないからというのが根本理由としては大きいような気がします。
50名程度のサイズの事業規模となると、PMFの壁は一定超えており、顧客ニーズが確認できてこれから大きく踏み込んでいくタイミングかなと思います。このフェーズにおいては、プロダクト開発の会議で何を開発していくかが比較的様々な選択肢が出てくるため、参加希望者が増えがちになることはよくあります。
その上で、この課題の根本的な要因としてはいくつか想定されると思いますが、個人的に一番大きいのは顧客戦略が明確に定まっていないというのが最も大きな原因になると思います。
この手のPMFが一定確認できているフェーズの企業においては、営業チームやCSチーム、PMMが全員これを作ってほしい!という要望がそれぞれある状態かと思います。そして、その考えに至る背景として
①現在優先的に獲得すべき顧客自体が絞り込み切れていない
②営業、CS、PMM、開発チームの最もPMFを優先すべき顧客像の認識ズレが存在する
③そもそも機能が色々足りてないので、優先すべき開発事項自体がそもそも多い
といったあたりでしょうか?
このあたりの課題がかならず1つ以上はあるのではないかと思います。
一方で、往々にして開発すべき機能に割くことのできる開発リソースというのはかなり限定的であることがほとんどなので、仮に300個の要望が来ていたとしてもひと月あたりに開発できるのはせいぜい5個とか10個あたりのアイテムになるのがほとんどだと思います。
となると、果たして参加を希望しているメンバーが入ってきたとしても、開発要望を受けても結局開発できるアイテムが少ないので、参加して開発スピードが上がるわけではなく、特に意味はない訳です。はっきり言って、開発会議への参加が増えれば増えるほど業務の生産性は低下していきます。
じゃあ、なんでみんな開発会議に参加したがるのか?という疑問なのですが、結局のところ②をやりきれていないからにほかなりません。
結局のところ
営業の立場からすると・・・新規の獲得に最も効くような機能開発がなされるのか?
CSの立場からすると・・・既存顧客が満足いくような機能開発がなされるのか?
PMMの立場からすると・・・市場の中でのGTM戦略に沿った機能開発がなされるのか?
開発の立場からすると・・・システムの安定的な稼働やいいUXが提供されるのか?
みたいな感じで全員が全員違う観点で自らの立場での開発優先項目を考えるため、その項目に沿って開発されるかどうかが気になります。当然、営業の立場からすると既存顧客優先の機能が作られれば、獲得のハードルが高くなるため、できるだけ新規獲得に効く機能がちゃんと開発されるのかがめちゃくちゃ気になる訳です。
■こんなイメージ(正確ではないですが...)
となると、開発要望がめちゃくちゃ多い中で、ステークホルダー全員の満足する開発を行うというのは基本的に無理です。必ずどこかを取って、どっかを捨てる必要があります。それこそが「どのようにPMFの円を広げるか?」つまり事業開発をするということにほかなりません。つまり、まずここのPMFの円を優先するから、まずはそれ以外のPFMの円は後回しにするよ!というのは会社全体で合意しておいたほうが良いです。
逆にここのPMFを優先するよ!ということが明確に定義できれば、開発すべき機能というのは自ずと絞り込まれるはずなので、営業チームもCSチームもPMMも開発も何を優先して開発するべきかの判断基準は認識統一され、開発会議への参加要望も比較的下がっていくことになります。
私も過去同様の経験を何度かしており、直近で私が支援している会社でも同様のことが起こっていました。比較的会社規模も近く、開発優先項目を決める会議体が4つほどあるという状態で非常に多くの参加者が参加していました。
そこで私が入ったあとは、PMFすべき優先顧客を明確に定義して、GTM戦略と顧客戦略を作り直しました。
〇〇という顧客ターゲットを優先して獲得、サクセスしていくことが市場のGTM戦略上非常に重要になるから、〇〇顧客を中心とした機能開発をやろうということで、開発機能の優先すべき判断基準が社内で統一され、会議への参加者が激減しただけでなく、PMM自体の役職を廃止することができました。顧客戦略が明確な場合、PdMは必要ですが(どう作るかを決める必要があるため)、PMMは必要ないです。
長々と記載させていただきましたが、いくつか仮説の入った記述も多いと思うので、補足があれば返信を記載いただけると助かります。